2026年9月9日、鎌倉市常盤に一軒のレストランが誕生しました。その名は「philosophy」。日本語にすると「哲学」という意味を持つ、少し不思議な名前のお店です。
場所は湘南モノレール「湘南深沢駅」から歩いて10分ほど。決して便利すぎる立地ではありませんが、だからこそたどり着いたときに、ここでしか味わえない時間が待っています。このお店を作ったのは、共同経営者であるシェフの村田小太郎さんと、ペストリーシェフの芳賀有人さんという、二人の若き料理人です。今回は、二人がここに至るまでの道のりと、鎌倉という土地で表現しようとしている料理についてご紹介します。

鎌倉・常盤に誕生した「philosophy」

philosophyがあるのは、鎌倉駅からは少し離れた常盤の住宅街。約50年前に建てられた日本家屋を生かした、モダンフレンチレストランです。
店名の「philosophy」には、自分たちが信じる料理やレストランの在り方を、この場所から表現していきたいという想いが込められているそうです。なぜこの食材を使うのか、なぜこの土地でなければならないのか。その一つひとつに、自分たちなりの答えを持つこと。それが、二人が大切にしている考え方です。食材一つひとつの命に敬意を払い、その土地の風景や季節を、そのまま料理として届けたい。philosophyという店名は、そんな二人の哲学そのものを表しているように感じます。

「おかずがおいしいのはもちろん、ご飯だけでもどんどん食べたくなりました!」
「哲学」という店名、最初に聞いたときは少し身構えてしまったのですが、話を伺ってみると、とても自然で、二人らしい名前だと感じました。
異なる道を歩んできた二人の料理人

村田さんと芳賀さんは、学生時代に同じ教室にいたことがあるそうです。とはいえ、当時は端と端の席で、特別親しい間柄ではなかったといいます。そこから二人は、それぞれ別の道を歩み始めました。村田さんはフランス料理を軸に国内外で経験を積み、芳賀さんは和食、フレンチ、デザート、パン、さらには農業まで、ジャンルを問わずさまざまな現場で腕を磨いていきます。
異なる経験を重ねてきた二人が、やがて同じ場所に立ち、お互いに背中を預けながら一つのレストランを作ることになる。philosophyの誕生には、そんな遠回りのような、必然のような物語があります。二人にとって、この場所のオープンはゴールではありません。むしろ、ここからが「本当のスタート」だと考えているそうです。
村田小太郎さんの経歴と、Restaurant DEJAでの出会い

シェフ/共同経営者の村田小太郎さんは、19歳で料理の道に入り、国内のレストランでフランス料理の伝統と基礎を学びました。21歳で渡仏し、フランス・アルザスにある「Restaurant DEJA」でスーシェフを務めています。一時帰国の際には、「noma Kyoto」でインターンを経験したこともあるそうです。
フランス料理の技術を土台にしながら、北欧の文化にも触れ、日本の食材や発酵、風土への関心を深めていった村田さん。学生の頃は、自分が何をしたいのか分からない時期もあったといいます。そんな中で「形に残るものをつくりたい」という思いから、手仕事である料理の道を選びました。村田さんにとってフランス料理は、自由度が高く、常に新しいものへ発展していける料理なのだそうです。

Restaurant DEJA時代、同世代のオーナーシェフが短期間で評価を得ていく姿を間近で見てきたことも、大きな経験になったといいます。最初は友人のような存在だった仲間が、やがて家族のような存在になっていった。その関係性は、料理そのものだけでなく、村田さんのその後の考え方にも影響を与えているようです。
芳賀有人さんの、多角的な経験

ペストリーシェフ/共同経営者の芳賀有人(ARUTO) さんの出発点は、地元ホテルの和食の厨房でした。そこから、特定のジャンルに限定されないキャリアを歩んでいきます。都心の二つ星フレンチ「Restaurant ESQUISSE」や「Pierre Gagnaire」、銀座の老舗などで、アシェットデセール(皿盛りデザート)を中心に技術を磨いた芳賀さん。さらに「食材を深く知りたい」という思いから、農家として土に触れる経験も積んでいます。
その後はカナダへ渡り、パン、デザート、店舗経営についても研鑽を重ねてきました。和と洋、料理とデザート、生産と経営。そのすべてを横断してきた多角的な視点が、芳賀さんならではの、新しい食の価値を生み出しているのだと思います。

約50年前の日本家屋を生かした空間

philosophyの建物は、約50年前に大工だった大家さんが自宅として建てた日本家屋です。当時の好みやこだわり、細部に宿る繊細な技術が、今も随所に残っています。philosophyでは、この建物の魅力に大きく手を加えず、できる限り本来の姿を残しているそうです。一方で、天井の梁を美しく見せる照明を取り入れるなど、現在の感性も重ねています。
囲炉裏では、南部鉄器を使って食後のお茶を淹れ、ときには肉を焼くこともあるのだとか。畳の上には、通常より約10センチ高く、回転できるように設計された座椅子が置かれ、それに合わせてテーブルの高さもオーダーメイドで調整されています。おしぼり置きには「茶則」を用いるなど、日本の伝統文化も、食事の中で自然に触れられる形で取り入れられています。昔からあるものを大切にしながら、現代の感性と心地よさを重ねていく。そんな空間づくりの姿勢が、この建物のあちこちから伝わってきます。

「おかずがおいしいのはもちろん、ご飯だけでもどんどん食べたくなりました!」
どこか実家に帰ってきたような感覚で、肩の力が抜ける空間でした。
土地や季節を映し出す料理

philosophyの料理の根底にあるのは、「料理とは土地を映すもの」という考え方です。フランス料理の技術を礎にしながら、鎌倉をはじめとする日本の風土、四季、そして自然と向き合う生産者へ目を向ける。旬という一瞬を捉え、食材が本来持つ魅力を引き出しながら、その背景にある土地の風景や文化まで、一皿の中に表現しようとしています。
代表的な料理の紹介
「金目鯛/甘酒/完熟梅/レモンバーベナ」は、神奈川県三崎の金目鯛を2%の塩で締め、昆布でしめてから皮目を湯引きした一皿。レインボーズファーム石井さんの完熟梅のコンフィチュールや手作りの甘酒、トマトウォーターの泡、レモンバーベナのオイルを合わせています。
「そうめん/いかそうめん/檜葉」は、奈良県桜井市の三輪そうめんと、神奈川県三崎のメトイカをそうめん状に仕立てた一皿。イカと昆布、すだちから引いた出汁に、檜葉のオイルで香りを添えています。日本の食材とフレンチの感性が重なる、そうめんの新しい表現です。

村田さんの故郷である埼玉県飯能市の鹿もも肉を使った「鹿肉/ブルーベリー/黒にんにく」は、ネパール山椒のオイルをまとわせた鹿肉に、黒にんにくやブルーベリーのコンフィチュールを添えた一皿。鹿の骨から取った出汁とブルーベリージュースのソースで仕上げられています。

芳賀さんのクリエイティビティは、「オノマトペ(擬音語・擬態語)」を冠したユニークなデザート名にも表れています。
代表作の一つが、故郷・福島県の郷土料理「桃の紫蘇巻き」から着想を得た「ぷにぷに」。皿全体を、杏仁を思わせる芳香成分「ベンズアルデヒド」の香りでまとめています。その名前の理由は、実際に口にした瞬間にわかるのだそう。ぜひ五感を使って確かめてみてください。
夏祭りの情景を表現した「ぷちプチ」も、芳賀さんらしい一皿です。とうもろこしのアイスや青のり、ひまわりのプラリネを組み合わせた、焼きとうもろこしを思わせるミルフィーユに、金魚すくいをイメージしたソースが添えられています。

料理に寄り添う自家製パンにも、並々ならぬこだわりが。北海道産小麦「キタノヒカリ」に全粒粉とライ麦をブレンドし、仕込み水の半分に赤ワインを使用。24〜48時間かけて低温発酵させることで、上品な酸味と、外はバリバリ、中はもちもちとした食感に仕上げています。料理のおいしさを引き立てるためにつくられた、philosophyの食事に欠かせない存在です。

二人の物語を映したブランドムービー
philosophyには、二人のこれまでの歩みと、鎌倉で始まる新しい物語を紹介するブランドムービーがあります。タイトルは「二人の料理人が、鎌倉に店を開くまで。|Restaurant philosophy」。異なる道を歩んできた村田さんと芳賀さんが、なぜ鎌倉で一つのレストランを始めることになったのか。その背景にある物語を、映像を通して感じていただけると思います。

このブランドムービーは、ハヤナビのぺりが制作を担当させていただきました。
店舗情報・アクセス
店名:philosophy
住所:〒248-0022 神奈川県鎌倉市常盤273-5
アクセス:湘南モノレール「湘南深沢駅」出口より徒歩約10分/JR「鎌倉駅」西口より車で約7分/長谷寺より車で約5分
Web:https://philosophy-restaurant.com
グランドオープン:2026年9月9日
営業時間 水曜日18:00〜
木、金、土、日 12:00〜15:00 18:00〜21:30
定休日 月、火、水(ランチ)
予約方法
テーブルチェック
https://www.tablecheck.com/ja/philosophy-restaurant/reserve/message
食べログ
https://yoyaku.tabelog.com/yoyaku/net_booking_form/index?rcd=14104448
電話番号:0467-95-2121
まとめ:ここからが「本当のスタート」
異なる道を歩んできた二人の料理人が、鎌倉・常盤の日本家屋で出会い直し、一つのレストランを作る。philosophyという店名には、二人がこれから紡いでいく料理やお店の在り方への想いが込められています。オープンはゴールではなく、ここからが本当のスタート。これからどんな景色を見せてくれるのか、ハヤナビでも引き続き見守っていきたいと思います。

オープンしたばかりのこの場所が、これからどんな時間を重ねていくのか。楽しみにしています。
情報出典:philosophy公式サイト・提供資料(すべてリライトして掲載)















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